歯周病の治療費用は進行度で大きく変わる
歯周病の治療費用は、症状の進行度によって大きく異なります。初期段階で治療を始めれば数千円程度で済むこともありますが、重度まで進行すると数万円以上かかるケースも珍しくありません。
以下に、進行度別の治療費用の目安をまとめました(3割負担の保険適用時)。
歯肉炎
治療費用の目安(3割負担):3,000〜4,000円程度
通院回数の目安:1〜2回
軽度歯周炎
治療費用の目安(3割負担):5,000〜10,000円程度
通院回数の目安:3〜5回
中等度歯周炎
治療費用の目安(3割負担):10,000〜15,000円程度
通院回数の目安:5〜10回
重度歯周炎
治療費用の目安(3割負担):15,000〜30,000円以上
通院回数の目安:10回以上
※費用は目安であり、口腔内の状態や治療内容によって変動します。
歯肉炎の治療費用(3,000〜4,000円程度)
歯肉炎は歯周病の初期段階で、歯茎に炎症が起きている状態です。この段階では歯を支える骨(歯槽骨)への影響はまだありません。
治療は主に歯石除去(スケーリング)とブラッシング指導が中心となり、1〜2回の通院で改善が期待できます。費用は保険適用で3,000〜4,000円程度が目安です。初診時は初診料や検査料が含まれ、再診時はやや安くなる傾向があります。
軽度の歯周炎の治療費用(5,000〜10,000円程度)
軽度歯周炎は、歯と歯茎の間にある歯周ポケットが4mm程度まで深くなった状態です。歯槽骨の吸収が始まっていますが、適切な治療で進行を止められます。
歯石除去に加え、歯周ポケット内の清掃(SRP:スケーリング・ルートプレーニング)が必要になることもあります。通院回数は3〜5回程度、費用は5,000〜10,000円程度が目安です。
中等度の歯周炎の治療費用(10,000〜15,000円程度)
中等度歯周炎になると、歯周ポケットが5〜6mm程度まで深くなり、歯槽骨の吸収も進んでいます。歯のぐらつきを感じ始める方もいます。
治療はSRPを複数回に分けて行い、症状によっては歯周外科治療を検討することもあります。通院回数は5〜10回程度、費用は10,000〜15,000円程度が目安です。
重度の歯周炎の治療費用(15,000〜30,000円以上)
重度歯周炎は、歯周ポケットが7mm以上になり、歯槽骨が大きく失われた状態です。歯が大きくぐらついたり、膿が出たりすることもあります。
歯周外科治療や再生療法が必要になるケースが多く、治療期間も長期化します。保険適用の範囲でも15,000〜30,000円以上かかり、自費診療を選択するとさらに高額になります。
歯周病の治療は保険が適用される?
歯周病の治療は、基本的に健康保険が適用されます。検査、歯石除去、歯周ポケット内の清掃、抜歯など、一般的な治療であれば3割負担(年齢や所得により異なる)で受けられます。
ただし、すべての治療が保険適用になるわけではありません。使用する材料や治療法によっては自費診療となるケースもあります。
保険適用になる治療の範囲
以下の治療は健康保険の適用対象です。
- 歯周病検査:歯周ポケットの深さ測定、レントゲン撮影など
- 歯石除去(スケーリング):歯の表面に付着した歯石を除去
- SRP(スケーリング・ルートプレーニング):歯周ポケット内の歯石・汚れを除去
- 歯周外科治療:フラップ手術など、歯茎を切開して行う処置
- 抜歯:保存が難しい歯の抜歯
- 投薬:抗菌薬、消炎鎮痛剤などの処方
保険診療では、厚生労働省が定めた治療の流れに沿って段階的に進める必要があります。そのため、治療回数が複数回に分かれるのが一般的です。
自費診療になるケース
以下のような治療は保険適用外となり、全額自己負担になります。
エムドゲイン:50,000〜100,000円/本
骨移植:50,000〜150,000円/本
レーザー治療:5,000〜30,000円/回
GTR法:50,000〜150,000円/本
GTR法やレーザー治療は、条件によって保険適用となる場合もあります。
自費診療を選ぶメリットは、より高度な治療法や材料を選択できる点です。一方で費用は高額になるため、保険診療との違いを理解したうえで検討することをおすすめします。
歯周病の治療法と費用の関係
歯周病の治療法は、進行度に応じて段階的に選択されます。基本的な治療から外科的な処置まで、それぞれ費用が異なります。ここでは、代表的な治療法と費用の目安を解説します。
歯周基本治療(スケーリング・SRP)
歯周基本治療は、歯周病治療の土台となる処置です。どの進行段階でも、まずこの治療から始めます。
スケーリングは、歯の表面に付着した歯石を専用の器具で除去する処置です。保険適用で1回あたり1,000〜1,500円程度(3割負担)が目安となります。
SRP(スケーリング・ルートプレーニング)は、歯周ポケットの奥深くに入り込んだ歯石や汚染されたセメント質を除去する処置です。麻酔を使用して行うことが多く、通常は口腔内を複数ブロックに分けて数回に分けて実施します。保険適用で1回あたり1,500〜3,000円程度(3割負担)が目安です。
歯周外科治療(フラップ手術など)
歯周基本治療で改善が見られない場合や、歯周ポケットが深い場合は歯周外科治療を検討します。
フラップ手術は、歯茎を切開して歯根を直接見える状態にし、奥深くの歯石や感染組織を徹底的に除去する手術です。保険適用で1回あたり3,000〜6,000円程度(3割負担)が目安となります。
そのほか、歯槽骨の形を整える「歯槽骨整形術」や、不要な歯周ポケットを除去する「歯肉切除術」なども保険適用で受けられます。
歯周組織の再生療法
重度の歯周病で歯槽骨が大きく失われた場合、骨や歯周組織の再生を促す治療法があります。
リグロス
概要:歯周組織の再生を促す薬剤を使用
費用の目安:保険適用:8,000〜15,000円程度
エムドゲイン
概要:特殊なタンパク質で再生を促す
費用の目安:自費:50,000〜100,000円/本
GTR法
概要:特殊な膜を使って骨の再生を促す
費用の目安:保険適用:5,000〜10,000円程度/本※、自費:50,000〜150,000円/本
骨移植
概要:自家骨や人工骨を移植する
費用の目安:自費:50,000〜150,000円/本
※GTR法の保険適用は、厚生労働省が定める施設基準を満たした歯科医院に限られます。
リグロスは保険適用で受けられる再生療法ですが、適用には一定の条件があります。すべての症例に使用できるわけではないため、歯科医師の診断を受けたうえで治療方針を決定します。
自費の再生療法は高額ですが、歯を残せる可能性を高める選択肢として検討する価値があります。
歯周病の治療にかかる期間と通院回数
歯周病の治療期間は、進行度によって大きく異なります。軽度であれば1〜2ヶ月で終わることもありますが、重度の場合は半年〜1年以上かかるケースもあります。
治療期間と費用は比例する傾向があるため、早期に治療を始めることが時間的・経済的な負担を抑えるポイントです。
進行度別の治療期間の目安
以下に、進行度別の治療期間と通院回数の目安をまとめました。
歯肉炎
治療期間の目安:2週間〜1ヶ月
通院回数の目安:1〜2回
軽度歯周炎
治療期間の目安:1〜2ヶ月
通院回数の目安:3〜5回
中等度歯周炎
治療期間の目安:3〜6ヶ月
通院回数の目安:5〜10回
重度歯周炎
治療期間の目安:6ヶ月〜1年以上
通院回数の目安:10回以上
※治療期間は口腔内の状態や治療への反応によって個人差があります。
保険診療では、決められた手順に沿って段階的に治療を進める必要があります。「一度にまとめて治療してほしい」と思われるかもしれませんが、保険のルール上、検査と処置を交互に行いながら経過を確認していく流れになります。
通院回数が増えるケース
以下のような場合は、通院回数が増える傾向があります。
【口腔内全体に歯周病が広がっている場合】
歯周病は1本だけでなく、複数の歯に同時に進行していることが多いです。治療が必要な歯の本数が多いほど、ブロックを分けて処置するため回数が増えます。
【治療への反応が遅い場合】
歯周基本治療を行っても改善が見られない場合は、再度SRPを行ったり、外科治療に移行したりすることがあります。
【糖尿病などの全身疾患がある場合】
糖尿病があると歯周病が悪化しやすく、治癒にも時間がかかる傾向があります。内科の治療と並行して進めることが重要です。
【喫煙習慣がある場合】
喫煙は歯周組織の血流を悪化させ、治療効果を下げる要因となります。禁煙することで治療効果が高まり、結果的に通院回数を減らせる可能性があります。
歯周病の治療費用を抑える方法
歯周病の治療費用は、進行度が上がるほど高額になります。費用を抑えるためには、早期発見・早期治療が最も効果的です。
また、公的な制度を活用することで、実質的な負担を軽減できる場合もあります。
早期発見・早期治療が最も重要
歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどありません。「痛くないから大丈夫」と思っているうちに進行してしまうケースが多いです。
歯肉炎の段階で治療を始めれば、1,500〜3,000円程度で済むことがほとんどです。一方、重度まで進行すると保険診療でも15,000〜30,000円以上、自費診療を選択すれば数十万円かかることもあります。
少しでも歯茎の腫れや出血が気になったら、早めに歯科医院を受診することが費用を抑える最大のポイントです。
定期検診で悪化を防ぐ
歯周病は一度治療が終わっても、再発しやすい病気です。定期的なメンテナンスを受けることで、再発や悪化を防ぎ、長期的な治療費を抑えられます。
定期検診の頻度は、一般的に3〜6ヶ月に1回が目安です。1回あたりの費用は保険適用で2,000〜3,000円程度となります。
年間で考えると6,000〜12,000円程度の出費ですが、重度まで進行した場合の治療費と比べれば、はるかに経済的です。
医療費控除を活用する
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税の還付を受けられる制度です。
歯周病の治療費も医療費控除の対象となります。保険診療はもちろん、自費診療(再生療法やインプラントなど)も対象に含まれます。
【医療費控除の条件】
- 1年間(1月1日〜12月31日)の医療費が10万円を超えた場合
- または、総所得金額の5%を超えた場合(所得200万円未満の方)
【対象となる費用の例】
- 歯周病の治療費(保険診療・自費診療とも)
- 通院のための交通費(公共交通機関)
- 処方された薬代
確定申告の際に医療費の領収書が必要になるため、1年間の領収書は必ず保管しておきましょう。還付される金額は所得税率によって異なりますが、自費診療で高額な治療を受けた場合は特に効果的です。
高額療養費制度の活用
高額療養費制度は、1ヶ月の医療費が上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。
ただし、歯科の保険診療で1ヶ月の上限額を超えることは稀です。この制度が活用できるのは、主に以下のようなケースに限られます。
- 入院を伴う大規模な歯周外科手術を受けた場合
- 他の医療費と合算して上限を超えた場合
上限額は年齢や所得によって異なります。一般的な所得の方(70歳未満)の場合、上限額は約80,000〜90,000円程度です。詳しくは加入している健康保険組合や市区町村の窓口にお問い合わせください。
歯周病を予防するためにできること
歯周病は、日々のケアと生活習慣の改善で予防できる病気です。一度治療が終わった方も、再発を防ぐために予防を継続することが大切です。
ここでは、自宅でできるセルフケアと歯科医院でのプロケア、そして生活習慣の見直しについて解説します。
毎日の正しいセルフケア
歯周病予防の基本は、毎日の歯磨きです。ただし、自己流の磨き方では汚れを十分に落とせていないことも多いです。
【歯ブラシの選び方と磨き方のポイント】
- 毛先が細く柔らかめの歯ブラシを選ぶ
- 歯と歯茎の境目に毛先を45度の角度で当てる
- 1〜2本ずつ小刻みに動かして磨く
- 力を入れすぎず、軽い力で丁寧に磨く
なお、歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは約60%しか落とせないといわれています。デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、除去率を80〜90%まで高められます。
歯間ブラシのサイズは歯と歯の隙間に合わせて選ぶ必要があります。サイズ選びに迷ったら、歯科医院で相談するとよいでしょう。
歯科医院でのプロケア
セルフケアだけでは落としきれない汚れや歯石は、歯科医院での専門的なクリーニングで除去します。
【定期検診で行う主な内容】
- 歯周ポケットの検査
- 歯石除去(スケーリング)
- PMTC(専門的機械的歯面清掃)
- ブラッシング指導
定期検診の頻度は、歯周病の既往がある方は3ヶ月に1回、そうでない方は6ヶ月に1回が目安です。
「治療が終わったから通わなくていい」と思いがちですが、歯周病は再発しやすい病気です。症状がなくても定期的にチェックを受けることで、早期発見・早期治療につながります。
生活習慣の見直し
歯周病の進行には、生活習慣が大きく影響します。以下の習慣がある方は、見直しを検討しましょう。
【禁煙する】
喫煙は歯周病の最大のリスク因子の一つです。喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病にかかるリスクが2〜8倍高いとされています。また、治療効果も下がるため、歯周病の改善には禁煙が不可欠です。
【バランスの良い食事を心がける】
ビタミンCは歯茎の健康維持に重要な栄養素です。野菜や果物を積極的に摂取しましょう。また、よく噛んで食べることで唾液の分泌が促され、口腔内の自浄作用が高まります。
【十分な睡眠をとる】
睡眠不足やストレスは免疫力を低下させ、歯周病の悪化につながります。規則正しい生活リズムを心がけましょう。
【糖尿病のコントロール】
糖尿病と歯周病は相互に影響し合う関係にあります。糖尿病のある方は血糖コントロールをしっかり行うことで、歯周病の改善にもつながります。
まとめ
歯周病の治療費用は、進行度によって1,500〜30,000円以上と大きく異なります。
費用を抑えるポイントは、早期発見・早期治療です。歯肉炎の段階で治療すれば数千円で済みますが、重度まで進行すると外科治療が必要になり、費用も期間も増加します。
歯茎の出血や腫れが気になる方は、早めに歯科医院を受診しましょう。けいおう橋本駅歯科室では、歯周病の検査から治療、予防まで対応しております。お気軽にご相談ください。
けいおう橋本駅歯科室 院長
石川 典弘
患者様が安心して治療を受けられるよう、丁寧な説明ときめ細かなコミュニケーションを大切にした診療を行っています。「素敵な笑顔で生活してほしい」という思いのもと、平日21時まで・土日祝日も診療する体制を整え、幅広い患者様のお口の健康をサポートいたします。
経歴
- 1992年:鶴見大学歯学部 卒業
- 1992年~2002年:東京都内の歯科医院 勤務
- 2003年:けいおう橋本駅歯科室 開院、現在に至る
