歯周病は自宅だけでは治せない|その理由とは
歯周病は自宅でのセルフケアだけでは完治できません。ただし、正しいセルフケアを続けることで進行を抑えたり、歯科治療の効果を高めたりすることは可能です。
歯周病治療において大切なのは、歯科医院での専門的な治療と、ご自宅でのセルフケアを両立させることです。まずは、なぜ自宅だけでは治せないのかを理解しておきましょう。
歯垢や歯石を完全に除去できないから
歯周病の原因は、歯に付着した歯垢(プラーク)や歯石です。歯垢は細菌の塊であり、放置すると2〜3日で石灰化して歯石になります。
歯垢は毎日のブラッシングで除去できますが、歯石は歯ブラシでは落とせません。歯石の表面はざらざらしており、さらに歯垢が付きやすくなる悪循環を招きます。
また、歯周病が進行すると「歯周ポケット」と呼ばれる歯と歯茎の間の溝が深くなります。健康な状態では1〜3mm程度ですが、歯周病が進行すると4mm以上になることも。深くなった歯周ポケットの内部は、歯ブラシの毛先が届かず、自分では清掃できません。
このような歯石や歯周ポケット内の汚れを除去するには、歯科医院での専門的な処置が必要です。
セルフケアで「できること」と「できないこと」
自宅でのセルフケアには限界がありますが、歯周病の進行を抑えるうえで非常に重要な役割を果たします。
【セルフケアでできること】
- 歯垢(プラーク)の除去
- 歯周病の進行を遅らせる
- 歯科治療後の良好な状態を維持する
- 歯周病の予防
【セルフケアではできないこと】
- 歯石の除去
- 歯周ポケット内部の清掃
- 破壊された歯周組織の回復
- 進行した歯周病の治療
歯科医院でどれだけ丁寧に治療しても、ご自宅でのセルフケアが不十分であれば歯周病は再発します。歯周病治療は、歯科医師・歯科衛生士と患者様が協力して取り組むものとお考えください。
自宅でできる歯周病セルフケア7選
歯周病を自宅だけで完治させることはできませんが、毎日のセルフケアで進行を抑え、予防することは十分に可能です。歯科医院での治療効果を高めるためにも、以下の7つのセルフケアを実践しましょう。
- 正しいブラッシング方法を身につける
- 歯間ブラシ・デンタルフロスを使う
- 歯周病対策用の歯磨き粉を選ぶ
- マウスウォッシュを補助的に使う
- 生活習慣を見直す(食事・睡眠・禁煙)
- 免疫力を高めるストレス管理
- 歯ブラシは1ヶ月を目安に交換する
1.正しいブラッシング方法を身につける
歯周病ケアで最も重要なのは、毎日の正しいブラッシングです。ポイントは歯と歯茎の境目を意識して磨くことです。
歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小刻みに動かしましょう。力を入れすぎると歯茎を傷つけてしまうため、毛先が広がらない程度の軽い力で磨いてください。
1ヶ所につき10〜20回程度、歯を1本ずつ丁寧に磨くことが大切です。全体を磨くには最低でも3〜5分はかかります。特に就寝前は念入りに磨きましょう。睡眠中は唾液の分泌が減少し、細菌が繁殖しやすくなるためです。
2.歯間ブラシ・デンタルフロスを使う
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは約60%程度しか除去できないと言われています。歯周病は歯間から進行することが多いため、歯間ブラシやデンタルフロスの併用が欠かせません。
歯間ブラシは、歯と歯の間に隙間がある方におすすめです。サイズは無理なく入るものを選び、歯科医院で適切なサイズを確認してもらうと安心です。
デンタルフロスは、歯と歯が密着している部分に適しています。Y字型のホルダー付きタイプなら、奥歯も簡単に清掃できます。
最初は面倒に感じるかもしれませんが、慣れれば2〜3分で終わります。毎日の習慣にしましょう。
3.歯周病対策用の歯磨き粉を選ぶ
歯磨き粉だけで歯周病が治ることはありませんが、適切な製品を選ぶことでケアの効果を高められます。
歯周病対策用の歯磨き粉には、殺菌成分(IPMP、CPCなど)や抗炎症成分(トラネキサム酸、グリチルリチン酸など)が配合されています。パッケージに「歯周病予防」「歯槽膿漏予防」と記載されている医薬部外品を選ぶとよいでしょう。
ただし、どの歯磨き粉を使うかよりも、正しいブラッシングで歯垢をしっかり落とすことの方が重要です。歯磨き粉はあくまで補助的なものとお考えください。
4.マウスウォッシュを補助的に使う
マウスウォッシュは、歯ブラシが届きにくい部分の細菌を減らす補助的な役割があります。殺菌成分が配合された製品を選び、ブラッシング後の仕上げとして使用すると効果的です。
ただし、マウスウォッシュだけで歯垢や歯石を除去することはできません。歯垢は粘着性が高く、液体でうがいをしただけでは落ちないためです。
マウスウォッシュはブラッシングの代わりにはならないことを理解したうえで、補助的に活用しましょう。
5.生活習慣を見直す(食事・睡眠・禁煙)
歯周病は生活習慣病の一つであり、日常の習慣が発症や進行に大きく影響します。
食事面では、糖分の多い食べ物や間食を控えめにしましょう。糖分は歯垢の中の細菌のエサとなり、歯周病を悪化させます。また、よく噛んで食べることで唾液の分泌が促され、口腔内の自浄作用が高まります。
睡眠は免疫力の維持に欠かせません。睡眠不足が続くと免疫力が低下し、歯周病菌に対する抵抗力が弱まります。
喫煙は歯周病の大きなリスク因子です。タバコに含まれる有害物質は血流を悪くし、歯茎への酸素や栄養の供給を妨げます。喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病にかかりやすく、治療効果も出にくいことが分かっています。
6.免疫力を高めるストレス管理
ストレスは免疫力を低下させ、歯周病を悪化させる原因となります。過度なストレスを感じると、体の抵抗力が弱まり、歯周病菌が繁殖しやすくなります。
適度な運動、十分な休息、趣味の時間を確保するなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。規則正しい生活リズムを維持することも、ストレス管理には効果的です。
7.歯ブラシは1ヶ月を目安に交換する
古くなった歯ブラシは毛先が開き、清掃効果が大きく低下します。同じ時間磨いても、歯垢をしっかり落とせなくなってしまいます。
歯ブラシは1ヶ月程度を目安に新しいものに交換しましょう。毛先が開いてきたら、1ヶ月経っていなくても交換のサインです。
また、歯ブラシのヘッドは小さめのものを選ぶと、奥歯や細かい部分まで磨きやすくなります。毛の硬さは「普通」または「やわらかめ」がおすすめです。硬い歯ブラシは歯茎を傷つける恐れがあります。
市販薬や塗り薬で歯周病は治る?
結論からお伝えすると、市販薬で歯周病を完治させることはできません。一時的に症状が和らぐことはあっても、根本的な治療にはならないのです。
歯周病の原因は、歯垢(プラーク)に潜む細菌です。これらの細菌は互いに結びついて「バイオフィルム」という膜を形成しています。バイオフィルムは強固なバリアとなっているため、薬の成分が細菌まで届きにくいのです。
市販の塗り薬や軟膏には、殺菌成分や抗炎症成分が配合されています。これらは歯茎の腫れや痛みを一時的に抑える効果はありますが、歯周病の原因である歯垢や歯石を除去する効果はありません。
歯茎の痛みがつらいときに市販の痛み止めを使うことは問題ありませんが、それで治療をした気にならないよう注意が必要です。症状を抑えている間も歯周病は進行し続けます。
歯科医院での歯周病治療の流れ
歯周病を根本的に治療するには、歯科医院での専門的な処置が必要です。ここでは、一般的な歯周病治療の流れをご紹介します。
歯周病検査(プロービング検査)
治療に入る前に、まず歯周病の進行度を調べる検査を行います。
代表的なのが「プロービング検査」です。プローブという目盛りのついた細い器具を歯周ポケットに挿入し、深さを測定します。健康な歯茎では1〜3mm程度ですが、歯周病が進行すると4mm以上になります。6mm以上の場合は重度の歯周病と診断されます。
検査では歯周ポケットの深さだけでなく、出血の有無、歯の動揺度(グラつき)、歯垢や歯石の付着状況なども確認します。レントゲン撮影で歯を支える骨(歯槽骨)の状態を調べることもあります。
これらの検査結果をもとに、患者様一人ひとりに合った治療計画を立てていきます。
スケーリング・ルートプレーニング
歯周病治療の基本は、歯垢と歯石の除去です。
スケーリングは、スケーラーという専用の器具を使って、歯の表面に付着した歯石を取り除く処置です。超音波スケーラーや手用スケーラーなど、状態に応じて器具を使い分けます。
ルートプレーニングは、歯周ポケットの奥深くに付着した歯石や汚染された組織を除去し、歯根の表面を滑らかにする処置です。歯根面がなめらかになることで、歯垢が再付着しにくくなります。
軽度から中等度の歯周病であれば、これらの処置とご自宅でのセルフケアを継続することで、症状の改善が期待できます。
重度の場合は歯周外科治療
スケーリングやルートプレーニングでも改善が見られない場合や、歯周ポケットが深く器具が届かない場合は、歯周外科治療を行うことがあります。
フラップ手術は、歯茎を切開して歯根を直接見える状態にし、深い部分の歯石や感染した組織を徹底的に除去する方法です。
歯周組織再生療法は、歯周病で失われた歯槽骨や歯周組織の再生を促す治療です。特殊な薬剤や人工膜を用いて、組織の回復を図ります。
これらの治療が必要かどうかは、検査結果をもとに歯科医師が判断します。治療法について不安がある場合は、遠慮なくご相談ください。
よくある質問
歯周病は何日くらいで治りますか?
歯周病の治療期間は進行度によって異なります。軽度であれば数週間〜1ヶ月程度、中等度から重度の場合は数ヶ月以上かかることもあります。治療後も定期的なメンテナンスを継続することが大切です。
歯周病に効く食べ物はありますか?
特定の食べ物だけで歯周病を治すことはできません。
ただし、ビタミンCを含む野菜や果物は歯茎の健康維持に役立ちます。また、よく噛んで食べることで唾液の分泌が促され、口腔内の自浄作用が高まります。糖分の多い食べ物や間食は控えめにしましょう。
電動歯ブラシと普通の歯ブラシどちらがいい?
どちらでも正しく使えば効果に大きな差はありません。
電動歯ブラシは手を細かく動かす必要がないため、手先を動かすのが苦手な方には便利です。ただし、電動歯ブラシでも歯間の汚れは取れないため、歯間ブラシやデンタルフロスの併用が必要です。自分が使いやすい方を選びましょう。
まとめ
歯周病は自宅でのセルフケアだけで完治させることはできません。歯石の除去や歯周ポケット内の清掃は、歯科医院での専門的な処置が必要です。
ただし、毎日のセルフケアは歯周病の進行を抑え、治療効果を高めるうえで非常に重要な役割を果たします。正しいブラッシング、歯間ブラシやデンタルフロスの使用、生活習慣の改善を日々継続しましょう。
歯茎の出血や腫れ、口臭などの症状がある方は、早めに歯科医院を受診してください。
けいおう橋本駅歯科室では、歯周病の検査から治療、予防のためのメンテナンスまで対応しております。歯周病が気になる方、セルフケアの方法を知りたい方は、お気軽にご相談ください。
けいおう橋本駅歯科室 院長
石川 典弘
患者様が安心して治療を受けられるよう、丁寧な説明ときめ細かなコミュニケーションを大切にした診療を行っています。「素敵な笑顔で生活してほしい」という思いのもと、平日21時まで・土日祝日も診療する体制を整え、幅広い患者様のお口の健康をサポートいたします。
経歴
- 1992年:鶴見大学歯学部 卒業
- 1992年~2002年:東京都内の歯科医院 勤務
- 2003年:けいおう橋本駅歯科室 開院、現在に至る
